山本ユキコの子育てフィロソフィ

子育てを会社でシェアしよう。子育ての体系的な知識と知見を会社でシェアして、働きやすい企業文化を育成

寿退社の罠: 妊娠・出産で退職することの三つのリスク

 

誤解1 仕事を辞めて、子育てをする私は勝ち組

 

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20代女性職員 「彼氏との赤ちゃんができちゃった。実家とひとバトルあるかと思ったけど、思ったよりスムーズにできちゃった婚がきまったわ。職場の人間関係もキツイし。つわりもひどいし。チャンスだ。仕事やめちゃおう。ようやくゆっくりできる。赤ちゃんが産まれたら、私がしっかり育てなきゃいけないし。寿退社って、私、勝ち組じゃない?」


事務長「せっかく育ってきた中堅職員に辞められるのは本当に痛い。でも、子育てに専念するのなら仕方ない。子育ても立派な仕事だしね。子育てに理解のあるリーダーでいるのもつらいなあ」

 

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企業の子育てに理念を作る 子育てフィロソフィ代表 心理学博士 山本ユキコです。

あなたの会社の社員が妊娠によって、退職をするようだったらちょっと待ってください。今、仕事を辞めると、3つのデメリットがあることを分かって辞めているのでしょうか。

 

1.経済的なデメリット

正社員を辞めることで、生涯賃金が半分程度に減る。

子どもが幼稚園に行くころには、将来の教育資金などが気になってきて、パートにまた出ることになるかもしれません。その時、正規職員と非正規職員では賃金が半額程度になります。生涯の賃金も半額程度。今、正規職員を妊娠や出産をきっかけにやめると、経済的には今より苦しくなることは確かです。

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 2. 「いい母親」幻想のプレッシャーリスク

今まで生活の一つの中心だった仕事を辞めて、子育てをすることで「子育てを仕事のようにきちんとしよう」と、仕事と子育てを同一視してしまうリスクがあります。

子育ては、仕事のようにはできません。

仕事では、新人職員には、それなりの研修があったり、仕事の配分やメンター的な先輩職員がついて、仕事に慣れながら、経験を積むための配慮があったでしょう。でも、子育てには、それらすべてがありません。

その中で、仕事のようにしっかりと子育てをしようという、できっこないことをやろうと考えてしまうと、現実は、そのようには「できない」ことが母親が自分で自分を追い詰める精神状態になりやすくなります。

出産・育児の休暇をしっかりと取りながら、適当な時期に職場復帰する予定であるならば「子育ては夫婦や祖父母、保育園、その他親族や、地域のボランティアなどチームで行うものである」という、実現可能な子育てをイメージしやすくなり、育児休暇中の子育てもラクになるでしょう。

3.ストレス要因の増加:生活の変化リスク

ストレスは一概に悪いものではなく、少なすぎても、多すぎても、よくありません。ストレスは、適正量にコントロールすることが必要なのです。

また、ストレスというものは「今までの生活からの変化」が大きく影響していることが考えられています。生活の変化を数値化して、ストレスをチェックするテストがあります。そこで「今まで働いていたが、仕事を辞めて、子育てに専念した」という女性たちにストレスチェックのテストをしてもらいました。すると、通常100を超えると、気を付けた方がいいというストレス度が、仕事を辞めて子育てをしている母親たちには300~700という、信じられないほど多くのストレス(生活の変化)がかかっていることが分かりました。

妊娠・出産による生活の変化はある意味仕方がないので、せめて仕事を辞めずに、休むという選択をすることで、心的ストレスの蓄積を減らすことができるでしょう。

山本ユキコを企業研修に呼んでください。子育てを会社で研修し、シェアする取り組みについてお話します。現場からのご意見を聞かせてください。