山本ユキコの子育てフィロソフィ

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日本は世界一の働くスキル不足大国:働き方改革と教育改革は繋げることが必要

子育ては、チームで行うもの。子育てフィロソフィ代表 山本ユキコです。

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先進的な働き方をする企業が企業として回るようになるには、そのための価値観や、人材が必要です。

 
その価値観と人材育成は、現在の日本の教育ではカバーできていません。


先進企業どころか「普通」の働き方の企業が実際必要とする人材と、日本の教育制度すら乖離しているのではないでしょうか。

 

日本は世界一の働くスキル不足大国

日本は未曽有の少子化に、働き方改革と、今までの社会がガラリと変わるような変化が起こっていますが、世界的にも今は大きな変化の中にいます。


世界経済フォーラムの2017年の年次総会では『急速な技術の進歩とデジタル化が進む今、第4次産業革命とも言われる大きな変化が今、まさに起こりつつあること』が示される一方、『日本の労働者は世界でダントツの1位のスキル不足』のデータもだされていました。

 

OECDのレポートから引用された、世界の国でスキル不足の労働者の割合を示したデータで

1位 日本 81%
2位 インド 64%
3位 ブラジル・トルコ 63%

(Rachel Hallett,2017の図を改変)

 

と、日本が圧倒的な1位であることが示されています。

 

働くことに必要なスキルとは

また、第4次産業革命が本格的になると言われる激動の2020年にむけて必要になる仕事に必要なスキルとして

1. 複雑な問題解決能力
2. 批判的思考
3. 創造性
4. 人材のマネジメント能力
5. 他者との協力する力
(Rachel Hallett,2017の図を改変)

 

がトップ5として挙げられています。

 

教育を選択する親が、社会人としての「人材」に必要な力を知る機会がないことも、目の前の受験や英才教育にはまって、その場の勝ち組や有名大学への合格がゴールというような風土を作り、人材を育てることを阻害する原因になっていると考えます。

 

先進企業にとって必要な価値観と教育について発信してほしい

先進的な働き方をしている企業の社長と社員で人材についての理念を考え、そして、そのような人材を育てるとしたら、どのような教育が必要なのか。どのような子育てが必要なのか。


それぞれの企業で社員の教育と子育て理念を考え、発信してください。企業の「社畜」をつくるのではなく、社員や社長の子どもや、孫にも伝えたい何かがあるはずです。

 

たとえば、サイボウズの青野社長は「分からないことを、問題解決を目指す形で質問する」ことや「公明正大で、ウソをつかないこと」などが、多様な働き方を支えるために必要なことであるとまとめています。

 

働き方改革に本気で取り組んだ企業には、そのような次世代型の働き方に必要な価値観があぶりだされているはずです。

それを明らかにして、広く伝えることで働きかた改革と両輪であるはずの、教育改革も地に足が付いた形で進めることができるはずです。

企業が子育ての理念を作り、社内に浸透することは企業の働き方の多様性を認める風土を作り、人を集めることのでる会社をつくります。

そして、理念を社外に広く告知をすることで日本で多様性を大事に働くために必要な価値観を明らかにし、使える人材を育てることのできる教育改革につながるでしょう。

 

新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革

日本の教育もこれを手をこまねいてみているわけではありません。
「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革」が、2014年の12月に文部科学省から打ち出され、「すべての若者が夢や目標を芽吹かせ、未来に花開かせるため」の教育改革が行われます。


2016年の最終報告では、

教育カリキュラムは高校も大学も学力の3要素

(1)十分な知識・技能
(2)それらを基盤にして答えが一つ に定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力等の能力
(3)これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度

を重視したものに変わります。アクティブ・ラーニングと呼ばれる、生徒自身が討論や研究をしながら答えのない問題に取り組む学習が増えるのです。

これで、仕事に必要なスキルの獲得に、教育も近づけるのです。


さらに、

「知識」を問う問題が中心の大学入試センター試験は、2020年に「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に変わります。

 

テストが変わり、高校・大学のカリキュラムも変える。国も本気の改革を進めているのです。

 

変化は、働き方、教育、どちらからも起こっているのです。これらがうまく回るように、一人一人の子育てをしっかりと変えていきましょう。

日本を働きやすく幸せな国にするためには、働き方、教育、子育てをかみ合う形で変える必要があるのです。

 

親の立場からは、いい大学に入れることを目標とした子育てはもう古い価値観だと捨て去り、働き続けられる人材になるための教育について本気で考えること。

企業の立場からは、働き方改革と、その中で必要とされる次世代の人材に必要な価値観を発信する。

 

まずは、それぞれの立場から、できることをぜひ取り組みましょう。

私たちの子ども達の日本は、本当に幸せで豊かな国になれるはずです。

【引用】

Rachel Hallett(2017)These countries are facing the greatest skills shortages,  World Economic Forum,  Web site : https://www.weforum.org/agenda/2016/07/countries-facing-greatest-skills-shortages/

高等教育政策室(2014)新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)(中教審第177号),文部科学省HP,Web site : http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1354191.htm

高大接続改革プロジェクトチーム(2016)高大接続システム改革会議「最終報告」の公表について,文部科学省HP,Web site : http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/033/toushin/1369233.htm

青野慶久(2017,1月)チームのことだけ、考えた。ー多様な働き方を実現するためにー, WORK&LIFE フォーラム北九州2017,北九州

 

子育ての理念を作るワークショップを行います

御社で実際に必要とされている働くための価値観、人材、そこにつながるための教育と子育て。御社での子育ての理念と推奨規定・禁止規定の策定まで一緒に行います。ぜひ、力にならせてください。一緒に、幸せで強い次世代の日本を作って行きましょう。

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男性育休: 男性も子育てが自分事であるという自覚を、子育ても企業の責任であるという意識改革を

子育ては、チームで行うもの。子育てフィロソフィ代表 山本ユキコです。 

 

1月19日はイクメンの日だったそうです。この日に合わせたTNCの『Nスぺ』男性の育休特集で書籍の紹介をいただき、コメントもさせていただきました。

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厚生労働省が推進している男性育休の取得を、2.65%である現状から、

2017年に10%、2020年度には13%に上げることなどを目標に掲げています。

出典:厚生労働省ホームページ イクメンプロジェクト

https://ikumen-project.mhlw.go.jp/

 

私が主催する育児教室にくる母親たちに、ストレスチェックのテストを行いました。すると、出産後、子育てを一人で行う母親の抱えるストレスは、危機的であるといわれる数値の3~7倍と、想像を絶する数値が出てきます。

 

この時期に、父親が母親の家事と育児を分担することで子育て環境を劇的に向上させることができます。ただ、育休をとらせるだけでなく、育休中の家事・育児への取り組みについての啓発も同時に行うことが必要でしょう。子育てのお手伝いと、休暇のつもりで育休を取るなら、母親のメンタルは逆に悪くなるでしょう。

 

子育ては自分事だと考えて、積極的な子育てと育児の取り組みが必要です。父親としては、母親にとっての子育てのパ―トナーである自覚を持ち、積極的に家事・育児を行いましょう。

 

急に子育てとか、家事とか言われても、何をしたらいいのか分からない。そんな新米の父親には、拙書がお役に立てるでしょう。「身につまされすぎて、読み進められない…」という、父親も続出ですが…

出産・育児ママのトリセツ 〜「子どもができて妻が別人になりました」というあなたへ

出産・育児ママのトリセツ 〜「子どもができて妻が別人になりました」というあなたへ

 

 

個人としては、父親の育休を取りたい、取らせたいが、会社の風土や仕組みがなくて困っている。

そんな企業の積極的な父親の育児休暇取得を推進するために、男性が育休をとることで、企業へ厚生労働相からの助成金が取得できます。

1人目の男性育休(中小企業は連続5日以上)と、育休のための啓発の取り組みがあれば、中小企業には60万円の助成金がでます。また、育休中の人員の補てんにも助成金があります。

出典:厚生労働相都道府県労働局 ホームページ 両立支援等助成金のご案内

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/goannai.pdf

 

ぜひ、社労士の方にご相談されて、利用されてみて下さい。

 

先進企業の取り組み

Nスぺでは、男性育休を先進的に取り組む企業として、株式会社リコーが取り上げられていました。リコーでは2013年に24%だった男性の育休取得率が(すでに、この時点で13%という政府の目標は軽くクリア―しているのですが)2015年には76%を達成しています。

男性育休のインタビューがリコーホームページに掲載されています。

RICOH 2018 RECRUITING SPECIAL SITE

 

リコーの育児支援制度の紹介もあります。1990年からの地道の取り組みが紹介されています。

RICOH 2018 RECRUITING SPECIAL SITE

 

ぜひ、御社も続いてみて下さい。

 

子育ての理念を作るワークショップを行います

子育てを大事にする職場風土を育成するために、御社に合った、子育ての理念、方法の策定を一緒に行います。ぜひ、力にならせてください。

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思ったよりもホワイトな中小企業製造業と、思ったよりもブラックな公務員

子育てに理念を 子育てフィロソフィ代表の山本です。

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先日、地元の製造業の中小企業社長さんと、学生さんが集う会に伺う機会がありました。

 

そこに参加の社長さんは、地元の中小企業のものづくりの面白さを語り、その話に思わず引き込まれました。

 

「こんな、田舎だし。社員も大企業に比べたら、地元出身の少ない人数。でも、世界に誇れるオンリーワンの技術もいくつもある。世界を相手に、大企業を相手にできる面白い仕事だよ」

 

という、ものづくりの熟練した技術者達、そして、それを支える文系社員の熱い仕事ぶりを聞いて、本当に地元を誇りたくなりました。

 

しかし、それを聞いていた学生さんが、遠慮がちに

「仕事のやりがいはそれでありそうで素晴らしいのですが、私は、生活がきちんと営めて、家庭を作れるようになりたいんですが…」

ということを質問されていました。

 

学生さんは、やりがいはもちろんですが、ワークライフバランスを重視しているようでした。

 

すると、社長さんは

「どうしても、大手の24時間稼働中の工場が故障するなどして、『自分のところしか修理できない』という時は、職人さん総出で、直るまで仕事のこともあります。でも、そうでない時はみんな定時に帰りますよ

とのことでした。

 

詳しく聞いてみると、もちろん突発的なことがあると忙しいのですが、

 

基本、定時に帰れる。

育休・産休は昔から普通に取れている。

育休明けは、本人と話ながら基本的に同じ職に戻る。

女性の勤続年数はとても長い。

 

という実態だそうでした。

 

なんとなく、残業が多そうで、結婚したら退職させられそうなイメージ(私だけでしたか…?)の中小企業の製造業。でも、そうではないとのことでした。

 

確かに、地元の中小の工場の多い地域は、夕方の5時6時に帰宅ラッシュがあります。その時間にお家に帰れる人が多いということですよね。

 

社長さんが言うには

「公務員さんや大企業さんは、組織が大きいから書類の仕事が多くなる。でも、中小企業の製造業はラインを動かして、商品を流してなんぼ。書類の仕事はそこまで多くなく、そこまで常習的な残業はない」

ということでした。

 

もちろん、中小企業はピンからキリまでいろいろあり、ここでお会いしたのは、中企業でも素晴らしい皆さまばかりでした。実際は違うところもあるでしょう。

 

でも、鬱で退職するほど残業している公務員よりも、この製造業の中小企業は「働きやすい」環境であると思えます。

 

いろいろなカテゴリーの職種の中に、働きやすい職場がそれぞれにあることを、私も伝えていきたいと思いました。

 

九州でワークライフバランスが整っている企業さんを紹介してください

来年から派遣・職業紹介業をされている九州スタッフさんと一緒に、九州でワークライフバランスが整っている企業さんを紹介する取り組みを始めます。

皆様で「ここはワークライフバランス整っているよ」「ここはとても面白い取り組みをしているよ」というところをご存知でしたら、ぜひご紹介くださいませ。

私が取材に行って、記事を書き、ブログや九州スタッフのHP、将来的には書籍にしてご紹介をする予定です。

 

面白い情報がありましたら、ぜひ

entry@kosodate-p.com

まで、お知らせください。