山本ユキコの子育てフィロソフィ

子育てを会社でシェアしよう。子育ての体系的な知識と知見を会社でシェアして、働きやすい企業文化を育成

男性の“仮面育休”:家庭の幸福度を上げてイキイキと働ける考え方にアップデート

企業の子育てに理念を作る 子育てフィロソフィ代表 心理学博士 山本ユキコです。

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短時間労働で幸福に成果をあげる日本に

長時間労働の規制にむけて、政治のレベルでも一歩ふみだされ、日本もヨーロッパ並みの短時間労働で成果を出す働き方に変わろうとしています。

 

正社員の労働時間が減ることで、疲労が減り、幸福度はあがり、子育てに携わる社員がもっと、家庭と仕事で生き生きと働くことができるシステムができるでしょう。

 

しかし、労働時間を減らしたからといって、家庭での幸福度は上がるのでしょうか?制度やシステムを変えるだけでなく、今までの価値観を制度に合う形に変えていく必要があるのではないでしょうか。

 

制度だけでは幸せになれない 「男性の育休」

男性の育休というと、どんなイメージがあるでしょうか。

「革新的」

「取った社員は育児に熱心」

「母親は子育てに熱心な父親がいて幸せだろう」

と育児に関しては、手放しに好意的なイメージがあるのではないでしょうか。

 

しかし、中には「仮面育休」と呼ばれる困ったケースがあります。

 

男性が第一子の出産を機に育休をとりました。

しかし、実際は少しばかりの「お手伝い」をした後に、自分の趣味に没頭してしまいます。そして、その写真を妻に悪気なく送ります。一人で赤ちゃんを見ていた妻は言葉にならないほどの怒りをためるのですが、夫には妻の怒りの理由は分かりません。

 

『育休もとったし、育児も手伝っている。なんで怒っているの?』

 

これは、男性育休という制度に伴って「育児・家事は夫婦のチームで行うもの」という意識改革が必要であったケースでしょう。この男性は、家事・育児はあくまで妻の仕事であり、自分は手伝い程度したら十分だと思っていたのではないでしょうか。

 

仕事と同じように、チームで子育てを行うこと。

父親には、「自分は、両親というたった二人の子育てのメインメンバーであり、むしろエースとして活躍するのだ」と、とらえて欲しいのです。

 

育休を父親がとることとが家庭の幸福につながるには、そんな意識の改革が必要です。

個人や行政の父親学級には、来てほしい父親はこない

「子育ては母親の仕事」高度経済成長時の子育て観を持ったままの父親の価値観を変えるために、行政などで父親学級が行われています。しかし、そこに来るのは、もともと子育ては夫婦で行うものだと分かっている方ばかりです。

 

支援が必要なところには、なかなか支援はとどかない。子育て支援の業界では良く聞かれる悩みです。わたしも、10年間子育て支援をしてきましたが、父親向けの講座やワークショップに来られるのは、意識の高いお父さんばかりで、なかなか届いてほしい父親にはとどかないのです。

短時間労働が高い成果につながるように

家庭が危機的状況になれば、イキイキと働くどころではなくなります。これからは、行政で届かない、子育ての価値観のアップデートが必要な層にむけて、会社の研修として育児の講座を行って欲しいのです。

これからはじまる、労働時間の削減というシステムが、子育て中の社員の高い成果につながるように、育児に対する意識改革を会社でサポートしてください。

家庭の幸福度をまっすぐに上げて、子育て中の社員がイキイキと働けるように、子育ての考え方をアップデートしましょう。

 

社員研修を行っています

kosodate-p.com

子育てしやすい職場の文化・雰囲気作りに貢献します。お気軽にお問合せ下さい。

 

父親向けの出産・育児のトリセツを書きました

出産・育児ママのトリセツ 〜「子どもができて妻が別人になりました」というあなたへ

出産・育児ママのトリセツ 〜「子どもができて妻が別人になりました」というあなたへ

 

 父親が、出産と育児、母親のメンタルについて知ってください。妻を怒らせる頻度が減ったと好評です。

 

寿退社の罠: 妊娠・出産で退職することの三つのリスク

 

誤解1 仕事を辞めて、子育てをする私は勝ち組

 

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20代女性職員 「彼氏との赤ちゃんができちゃった。実家とひとバトルあるかと思ったけど、思ったよりスムーズにできちゃった婚がきまったわ。職場の人間関係もキツイし。つわりもひどいし。チャンスだ。仕事やめちゃおう。ようやくゆっくりできる。赤ちゃんが産まれたら、私がしっかり育てなきゃいけないし。寿退社って、私、勝ち組じゃない?」


事務長「せっかく育ってきた中堅職員に辞められるのは本当に痛い。でも、子育てに専念するのなら仕方ない。子育ても立派な仕事だしね。子育てに理解のあるリーダーでいるのもつらいなあ」

 

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企業の子育てに理念を作る 子育てフィロソフィ代表 心理学博士 山本ユキコです。

あなたの会社の社員が妊娠によって、退職をするようだったらちょっと待ってください。今、仕事を辞めると、3つのデメリットがあることを分かって辞めているのでしょうか。

 

1.経済的なデメリット

正社員を辞めることで、生涯賃金が半分程度に減る。

子どもが幼稚園に行くころには、将来の教育資金などが気になってきて、パートにまた出ることになるかもしれません。その時、正規職員と非正規職員では賃金が半額程度になります。生涯の賃金も半額程度。今、正規職員を妊娠や出産をきっかけにやめると、経済的には今より苦しくなることは確かです。

www.nenshuu.net

 2. 「いい母親」幻想のプレッシャーリスク

今まで生活の一つの中心だった仕事を辞めて、子育てをすることで「子育てを仕事のようにきちんとしよう」と、仕事と子育てを同一視してしまうリスクがあります。

子育ては、仕事のようにはできません。

仕事では、新人職員には、それなりの研修があったり、仕事の配分やメンター的な先輩職員がついて、仕事に慣れながら、経験を積むための配慮があったでしょう。でも、子育てには、それらすべてがありません。

その中で、仕事のようにしっかりと子育てをしようという、できっこないことをやろうと考えてしまうと、現実は、そのようには「できない」ことが母親が自分で自分を追い詰める精神状態になりやすくなります。

出産・育児の休暇をしっかりと取りながら、適当な時期に職場復帰する予定であるならば「子育ては夫婦や祖父母、保育園、その他親族や、地域のボランティアなどチームで行うものである」という、実現可能な子育てをイメージしやすくなり、育児休暇中の子育てもラクになるでしょう。

3.ストレス要因の増加:生活の変化リスク

ストレスは一概に悪いものではなく、少なすぎても、多すぎても、よくありません。ストレスは、適正量にコントロールすることが必要なのです。

また、ストレスというものは「今までの生活からの変化」が大きく影響していることが考えられています。生活の変化を数値化して、ストレスをチェックするテストがあります。そこで「今まで働いていたが、仕事を辞めて、子育てに専念した」という女性たちにストレスチェックのテストをしてもらいました。すると、通常100を超えると、気を付けた方がいいというストレス度が、仕事を辞めて子育てをしている母親たちには300~700という、信じられないほど多くのストレス(生活の変化)がかかっていることが分かりました。

妊娠・出産による生活の変化はある意味仕方がないので、せめて仕事を辞めずに、休むという選択をすることで、心的ストレスの蓄積を減らすことができるでしょう。

山本ユキコを企業研修に呼んでください。子育てを会社で研修し、シェアする取り組みについてお話します。現場からのご意見を聞かせてください。

子育てを会社でって、ハードル高すぎない? 理念3: 直接子育てが難しいなら、間接子育てで支援

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事務長「子育てを会社でシェアするっていうけれど、正直、私も赤ちゃんを見るの?無理だから。ほんと。ハードル高すぎるしくみだよ」

 

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企業の子育てに理念を作る 子育てフィロソフィ代表 心理学博士 山本ユキコです。

子育てのシェアは、あくまで「ボランティア」として、望んでできる人が参加してください。(ここでのボランティアとは、無料との含みはなく、志願できる人がするという意味です。できれば場合にはよりますが、子育てのシェアは手当てが発生する方が理想的です)

保育士の養成校でも、実習が途中で中止になってしまうような学生が少数ながらいたりします。子どもを見ることは無理だということで、進路変更を余儀なくされることが少数ですがあったりします。

そういった人が、会社の業務として子育てをさせられるのは、預ける側も、預かる側も苦痛でしょう。

直接的に子育てに参加できない人は、間接的に子育てに参加しましょう。子育てに時間をとられる同僚の仕事のフォローを、間接的な子育てと考えます。子どもの迎えのために早帰りをした社員のフォローをすることで、あなたも子育てに参加しているのです。

もちろん、子育て中の社員のフォローをするために、さばききれないほどの仕事が、一部の社員に常態的に負担がかかるなら、それはそれで改善するべき状況です。長時間労働は、日本として改善するべき課題だからです。

むしろ、長時間労働を企業全体で一気にやめる。思い切って禁止することで、業務の効率化が図れ、その年から業績がアップするということもあります。ワークライフバランス社の小室さんが国内外の事例をあげて、具体的に紹介もしています。

女性活躍 最強の戦略 (日経DUALの本)

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 子育ての研修とシェアは、子育て支援として、時短の仕組みを取り入れたが、うまく回らない。子育て支援に対して、企業風土がなじんでいないのではないかと思う。そういう時に、ぜひ追加として、取り入れてもらいたい仕組みです。

子育ての研修とシェアによって、うまく動かなかった時短などの子育て支援のシステムが、上手く動き出す手助けになるでしょう。子育て中の社員が働きやすく、中途でやめることなく、長期にわたって、有能な人が働いてもらえる職場環境が実現するツールになります。

企業が今、社員の子育てに本気で力を出すことで、子ども達の世代にとって、孫の世代にとって、日本を暮らしやすい国に変えることができるのです。 

山本ユキコを企業研修に呼んでください。子育てを会社で研修し、シェアする取り組みについてお話します。現場からのご意見を聞かせてください。